[電波干渉]ペースメーカは5Gの影響をうけるのか

ジャック
おはようございます。臨床工学技士のジャック(@jack_toarume)です。

 

総務省より「電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査報告書」が出てます。
既に報告書の内容をご存知の方もいるかもしれませんが、今回はこの報告書のペースメーカと5Gの関係について簡単に説明させていただきます。

80ページを超える報告書なんて読む気になれない!
簡潔に、要点だけ教えて!
という方は是非、参考にしてみてください。

報告書はこちらから確認できます。
⇒総務省「電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査報告書

 

結論:ペースメーカーは5Gの電波の影響を受けない…と思われる

ジャック
と思われる….て、めっちゃあやふやじゃないか! と思った方。その理由もちゃんと説明します。

 

5Gの電波はペースメーカに影響を与えない

この報告書には…
第5世代移動通信システム(以下、5G)で利用される電波帯域(3.7GHz 帯、4.5GHz 帯、28GHz帯 )は、植込み型心臓ペースメーカ・植込み型除細動器のペースメーカ機能と除細動機能に影響を与えなかった、と書いてあります。
(報告書のP.29を参照)

植込み型ペースメーカや植込み型除細動器を使用している患者さんは、ひとまず安心できる測定結果が出ました。

 

調査に5Gのスマホを使ってない?!

実は、5Gの電波がペースメーカや植込み型除細動器に影響を与えるかどうかの測定調査に5G対応のスマホを使っていません。
冒頭で「5Gの電波の影響を受けない…と思われる」と濁した理由はここにあります

では、なぜ5G対応のスマホを使った調査をしなかったのか。

その理由は、測定調査時に5Gに対応したスマホの実機と、それを制御するための擬似基地局が手に入らなかったからです。

株式会社NTTドコモが5Gの通信サービスを開始したのは、2020年3月25日。
KDDIが5Gの通信サービスを開始したのは、2020年3月26日。
SoftBankが5Gの通信サービスを開始したのは、2020年3月27日。

測定調査は5Gのサービス開始前に行われたため、5Gに対応したスマホを使った調査が出来なかったわけです。

 

模擬システムと人体ファントムを用いて調査

測定調査では5Gに対応したスマホや疑似基地局が手に入らなかったため、5Gで使用される電波帯域(3.7GHz 帯、4.5GHz 帯、28GHz帯 )を放射する模擬システムと人体組織による電波の減衰と電磁干渉に起因する人体内での電流の誘起等を模擬するための人体ファントムが用いられました。

報告書ではこの部分についてかなり細かく、専門的に書かれているので正直僕もよく分かりませんでしたが…

できる限り実際の状況(5Gのスマホで植込み型医療機器に影響がでるかどうか)に近づけ、より厳しい条件下で調査は行われたようです。

 

今後の調査について

報告書には今後の調査についても書かれています。
僕なりに要約してみると…

  1. 従来の携帯電話方式の電波では端末実機を用意して、測定調査を行っていた。
  2. 今回の調査(5Gの電波帯域)は5G端末実機を用意できなかっため、模擬システムにて測定を行った。
  3. 今後、5G に対応した端末実機や擬似基地局が一般に入手可能になった段階で、端末実機による実運用サービスに近い状態の電波による影響測定の実施を検討していくことが望ましい。

 

模擬システムを用いた5Gの電波帯域による植込み型医療機器への影響はなかったけれど、従来通りの端末実機を用いた測定調査を行うことが望ましい。
ということが、分かります。

 

ジャック
まだ不明確なところもあるけれど….今回の調査の結果では5Gの電波帯域がペースメーカや植込み型除細動器に影響を及ぼすことはありませんでした。

 

5Gについて知ろう

ジャック
ここからは、5G、第5世代移動通信システムについての説明。ペースメーカについては触れていません。

 

そもそも、5Gとは

ジャック
5Gって最近よく耳にするけれどよく…いったい何がすごいの? どんなものなの?

 

5Gとは、第5世代移動通信システムのことです。
第1世代から始まった携帯電話の歴史が、5世代目まで来たということですね。

第1〜第4世代をざっくり説明すると

  • 第1世代: アナログ通信システム。電話がかけられる。
  • 第2世代: デジタル化されメールができる。NTTドコモのiモードを開始。
  • 第3世代: 携帯電話への標準化。地域に縛れれない、世界で使えるようになる。
  • 第4世代: さらなる高速通信化とスマートフォン(スマホ)

 

第5世代移動通信システムのキーワードは「超高速化」「超多数同時接続」「超低遅延」の3つ。

 

5Gのメリット

この「超高速化」「超多数同時接続」「超低遅延」によって

  1. インターネットの通信が快適になる
    ⇒超高速化によって、高画質(4K、8K画質)の動画を視聴できるようになる。
  2. IOTがさらに普及
    ⇒IOT(Internet of Things)は、“モノのインターネット”と訳され、今までインターネットとは無縁と思われていた物も、インターネットと接続されるようになる。
  3. 信頼性の向上
    ⇒自動車の自動運転技術や遠隔操作の手術など人の命に関わるところでは、通信の遅延は致命的です。超低遅延によって、信頼性が向上できると考えられている。

 

5Gと医療

ジャック
5Gと医療に関わる記事をピップアップしたので、気になるものがあればリンクからご確認ください。

 

ジャック
5Gによって、4K8K映像を用いた遠隔医療はそう遠くない未来の話でしょう。
その未来で、臨床工学技士として何ができるのか考えていきたいです。

 

さいごに

今回は「ペースメーカは5Gの影響をうけるのか」をテーマに、総務省の報告書をもとに“5Gと植込み型医療機器”について書かせていただきました。

5Gの対応したエリアはまだまだ限定的ですが、これから少しずつ拡大していくことでしょう。
5Gが医療機器に影響を与えるかどうかについては、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士は興味関心を持っていた方がいいかもしれませんね。

 

ジャック
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!



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ABOUTこの記事をかいた人

ジャック

とある病院ではたらく、とある臨床工学技士。 「臨床工学技士の認知度向上」と 「むずかしい医療機器を、分かり易く&簡単に」を このブログを通して1人でも多くの人に伝えていきたいと思います。