おはようございます。
この記事を書いている、ジャックです。
前回に引き続き、心臓カテーテル検査・治療に関する記事です。
今回は『心カテスタッフが心臓カテーテル検査・治療中に意識すべきこと』をテーマに、心臓カテーテル業務に従事する上での心構えについてまとめてみました。
心臓カテーテル検査・治療中に従事する上での考え方や心構えについて書かれている参考書が少ないように感じたので、記事にしてみました。
この記事の内容は、実際に僕が心カテ業務に従事する上で心がけていること(心構え)について書きました。
こんな考え方は間違っている! そのように感じる方もいらっしゃるかもしれません。
多種多様な考えがあって然りだと思います。僕の心構えも、そんな多種多様な考えのひとつとしてご理解した上で読んでいただけると幸いです。
Contents
心カテスタッフが意識する必要があること
心臓カテーテル業務に従事するスタッフが、検査・治療中に常に意識する必要があることは
今、医師(術者)が何をしているのかを見て、次に何が起こるかを予測する
ことです。詳しく説明します。
今、医師(術者)が何をしているのかを見て、次に何が起こるかを予測する
心臓カテーテル検査・治療に携わるスタッフは、常に医師(術者)が今、何をしているのかを理解する必要があります。
その理由は
医師(術者)が何をしているのかを理解していないと、医師(術者)が次に何をするのか、その結果患者さんにどのような影響があるのか、を予測することができないからです。
- 今、シースを留置したからヘパリンを静注or動注することが予測できる。
- 今、造影カテーテルを右冠動脈にかけたから造影剤を流すことが予測できる。
だから、アレルギー症状がでないか、心電図に変化が起きないか、観血式動脈圧に変化がないかを観察する必要がある。 - 今、治療用のガイドワイヤーを冠動脈に通した。
もしかしたら、ワイヤーパーフォレーション(穿孔)やワイヤーが抜引けてくることが予測できる。
これらが起こらないように、ガイドワイヤーの先端位置に注意する必要がある。
など、例を上げたらキリがありません。
それって、私(看護師、診療放射線技師、臨床工学技士)が分かっている必要があるの?
- 私は、看護師だから患者さんの観察・看護、薬剤の準備、術中の記録だけをすればいいの
- 僕は、臨床工学技士だからポリグラフの操作・記録、補助循環装置、除細動器、人工呼吸の準備・操作だけをすればいいや
- 俺は、診療放射線技師だから透視装置が問題なく動作する状態に保つ、目的の画像をモニターに映すようにするだけでいいだ
医師(術者)の他に、助手の医師もいるし、私たち(看護師・診療放射線技師・臨床工学技士)がそこまで見る必要があるの?
そう思われる方もいるかもしれません。
確かに、医師(術者)が何をしているのかを観察しなくても心臓カテーテル検査・治療を終えることはできます。
でも、僕はそれだけではダメだと思います。
次にその理由ついて書きます。
初期対応が遅れる。その結果、患者さんへの危険が増える。
心臓カテーテル検査・治療の状況を把握し・予測をたてる能力があるなら、医師の指示を待たずに次に自分(看護師・診療放射線技師・臨床工学技士)が何をすればいいのか自ずと分かります。
心臓カテーテル検査・治療は、上手くいっているときには焦るようなことはありません。
しかし、緊急カテーテルや合併症が起こると慌ただしい状況に陥いることが多いです。
たとえば
・左冠動脈主幹部部の急性心筋梗塞だ! バイタルが保てない!
⇒補助循環(PCPS、IABP)を準備してくれ! 除細動器もスタンバイだ! いつでも挿管できる用意をしてくれ! 人工呼吸器も必要になるぞ!
・冠動脈の末梢がパーフォレーション(穿孔)し、心嚢に血流が漏れている!
⇒エコーで心嚢への血液貯留状態を確認するぞ! バイタルに変化が起きていないか観察だ! 心嚢穿刺するぞ!
何が起きているのか現状を理解・把握する能力があれば、次に取るべき行動にすぐ移れます。
逆に、普段から医師が何をしているのかを意識していない場合、医師の指示待ち人間になってしまい、いざという時に身体も脳も動かない人間となってしまうのです。
結果として初期対応が遅れ、患者さんへ与える危険が増えてしまうことが容易に想像つきます。
医師は万能ではないし、できることには限りがある
こんなことを書くと、循環器内科医師に怒られてしまうかもしれませんが
医師は万能ではないし、できることには限りがあります。
急性心筋梗塞など患者のバイタルが崩れている場合、医師(術者)は短時間の間に脳をフル回転させ、何を優先して行うのが最良・最適なのかを導き出します。
そんなときに、カテ室のスタッフが指示待ち人間だとしたら、医師の足を引っ張る存在としかいえません。
次に何が必要なのかを各スタッフが自分自身で考え、医師に提案(もちろん声をかけるタイミングも重要)または指示が出たら、即行動に移せる準備をしておく必要があります。。
患者の命を救うために今、自分が医療職(看護師、診療放射線技師、臨床工学技士)として何ができるのか考え、術者の助けになることが心カテ業務に従事するスタッフに求められる能力です。
まとめ
心臓カテーテル業務に従事するスタッフが意識すべきことは
今、術者が何をしているのかを見て、次に何が起こるかを予測する
ことです。
医師が出来ることには限りがあることを理解し、専門医療職として自分に何が求められているのか、何が出来るのかを常に考える必要があります。
さいごに
今回は、『心カテスタッフが心臓カテーテル検査・治療中に意識すべきこと』をテーマに、心臓カテーテル業務に従事する上での心構えについてまとめました。
CTO(慢性完全閉塞病変)などでは治療時間が長引き集中力も途切れがちですが、医師(術者)は常に治療に専念しています。
そのことを僕たち(看護師・診療放射線技師・臨床工学技士)も忘れずに、チーム一丸となって治療に専念することが大切です。
心臓カテーテル検査・治療中に具体的に観察すべきポイントについても、今後まとめて行く予定です。
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