おはようございます。
この記事を書いている、ジャックです。
心臓カテーテル検査・・・名前は聞いたことあるけど詳しくは分からない、なんだか怖そう。
アンギオ室(心臓カテーテル検査を行うお部屋)や手術室は病院のなかでも、一般の人が入れないお部屋です。
いったいどんなことが行われているのか、イマイチ想像つかないですよね。
今回は、そんな心臓カテーテル検査と検査の流れについてザックリ&分かりやすくお話ししたいと思います。
心臓カテーテル検査って、どんな検査?
心臓カテーテル検査は、カテーテルと呼ばれる細くて長い筒を冠動脈(かんどうみゃく)の入り口まで運び、造影剤を流してレントゲンで動画撮影する検査です。
冠動脈は心臓に栄養を運ぶ血管のことを言います。
冠動脈が細くなったり、詰まったりすることで狭心症や心筋梗塞といった病気になります。
検査時間はどれくらいかかるの?
冠動脈の状態(血管が細い、詰まっている、ところがあるのか)を見るだけなら、アンギオ室(心臓カテーテル検査を行う部屋)に入室してから約30分で終わります。
冠動脈の造影検査に追加して以下の検査も行う場合は、検査時間も延びます。
- 右心カテーテル(スワンガンツカテーテル)
- 左室造影
- 冠血流予備量比(FFR/iFR)
検査の流れについて教えて
心臓カテーテル検査は、大きな手術で行うような全身麻酔は行いません。
検査中はずっと意識があるので、不安なことがあれば我慢せず看護師さんに伝えましょう。
アンギオ室(心臓カテーテル検査を行う部屋)に入ってから、心臓カテーテル検査が終わって部屋を出るまでの流れをまとめてみました。
- アンギオ室入室
- 検査台の上に移動
- 検査用の器具を取り付け、腕の固定
- 消毒、滅菌シーツをかけられる
- 局所麻酔、動脈に針を刺される
- シースという筒を入れる。抗凝固薬を注射
- 造影カテーテルという細い管を冠動脈まで誘導
- 冠動脈に造影剤を流して、レントゲンで動画撮影
- 必要であれば、追加の検査をおこなう
- 各種カテーテルを取り出す
- シースという筒を取り出し、動脈を止血
- 検査用の器具を取り外す
- アンギオ室を退室。看護師さんと入院のお部屋へ移動
各項目の内容を詳しく知りたい方は、この先にまとめましたので参考にしてみて下さい。
1.アンギオ室入室
入院中のお部屋で専用の病衣に着替えます。
心臓カテーテル検査中はトイレに行けないので、必要に応じて紙オムツを履きます。
(尿を出すカテーテルを入れる場合もあります)
着替えが終わったら、お部屋の看護師さんと一緒にアンギオ室(心臓カテーテル検査を行う部屋)に移動します。
アンギオ室に入ったら、(アンギオ室の)スタッフが検査台まで誘導します。

2.検査台の上に移動
アンギオ室の検査台(検査用のベッド)は高い位置にあるので、踏み台を使って検査台に移動します。検査台に移動したら仰向けに寝ます。
3.検査用の器具を取り付け、腕の固定
看護師や臨床工学技士が心電図の電極を患者さんの胸に装着します。
腕には血圧を測るマンシェットとよばれる帯を巻きます。
指先には血液中の酸素の割合を測定するクリップを着けます。
これらの器具の取り付けはすぐに終わります。痛みもありません。
心臓カテーテル検査は主に腕の血管(手首の動脈または肘の動脈)に針を刺す必要があります。
針を刺したところにシースとよばれる筒を入れます。
検査中にこの筒が抜けてしまうと出血してしまうため、シース(筒)が抜けないように腕をテープなどで固定させていただきます。
アンギオ室には大きな装置が沢山あり、その機械を冷ますため部屋全体が寒くなっています。
各種検査用の装置取り付け後に、タオルケットを掛けるので寒さをしのげると思います。

4.消毒、滅菌シーツをかけられる
検査用の器具の装着が終わったら、針を刺すところ(手首または肘)を消毒します。
うがい薬で有名な“イソジン”と呼ばれる茶色の液体で消毒することが多いです。
カテーテルは身体の中(血管の中)を通すため、ばい菌が付かないようにする必要があります。
そのため、患者さんの身体の上にキレイ(ばい菌がいないという意味:滅菌)なシーツを被せます。
シーツは首から下に掛けるため、顔が隠れるようなことはありません。
5.局所麻酔、動脈に針を刺される
動脈(手首または肘のあたり)に針を刺す前に、局所麻酔の注射を行います。
歯医者で抜歯などをしたことは経験があると思いますが、その局所麻酔と同じです。
この注射が少し痛いと思います。
我慢できないようでしたら、看護師さんに遠慮せず声を掛けてください。
局所麻酔が十分に効いてきたところで、動脈(手首または肘のあたり)に針を刺します。
麻酔が効いているので痛みはそこまで感じないと思います。
6.シースという筒を入れる。抗凝固薬を注射
無事に動脈に針が刺さったら、シースと呼ばれる筒を入れます。
この筒が身体に入ったら、この後の検査で痛いことは基本的にありません。
シースは身体にとって異物です。
人間の血液は異物と触れることで固まる性質があるので、検査中だけは血液が固まらないようにするための薬(抗凝固薬)を注射します。
薬は先程のシースとよばれる筒から入れることができるので、別の部位に針を刺すことはありません。

たとえば、冠動脈に造影剤を流してレントゲンで動画撮影をする際に胸の痛みを訴える方がいらっしゃいます。
冠動脈が細くなったり、詰まっているところに造影剤を流すことで、一時的に血液の流れが滞ります。これが原因で胸の違和感・痛みを感じることがあります。僕たちスタッフも声を掛けますので不安や心配事について教えてください。
7.造影カテーテルという細い管を冠動脈まで誘導
シースという筒から、冠動脈(心臓に栄養を運ぶ血管)に造影剤を流すためのカテーテル(細くて長い筒)を入れます。
このカテーテルを冠動脈までレントゲンで見ながら誘導します。
冠動脈(心臓に栄養を運ぶ血管)は右と左に1本ずつ、計2本あります。
左の冠動脈は、さらに2本の太い枝に分かれます。
冠動脈の位置や形はひとりひとり違うので、医師はその人に合ったカテーテルを選んで、カテーテルを冠動脈の入り口まで導いています。
8.冠動脈に造影剤を流して、レントゲンで動画撮影
カテーテルを冠動脈の入り口まで導いたら、造影剤を流してレントゲンで動画撮影します。
動画撮影は左右の冠動脈で行います。
医師はここで撮影した動画をしっかり見て、病気がないか、異常がないかを判断します。
また、ここで撮影した画像は検査終了後に医師から患者さんに説明する際に使用されます。
患者さんは検査中、画像を見ることはできませんが、後で検査結果を説明する際に見せてくれますの安心してください。
9.必要であれば、追加の検査をおこなう
事前の検査説明で、右心カテーテル(スワンガンツカテーテル:S-G)や左室造影(LVG)の説明を受けた場合は、追加で検査を行います。
また冠動脈に細いところがあった場合、その部位に対してカテーテル治療が必要なのか、必要ないのかを見極めるための検査も追加で行われることがあります(冠血流予備量比:FFR/iFR)。
10.各種カテーテルを取り出す
一通りの検査終了後、冠動脈まで通していたカテーテルを身体の外に取り出します。
11.シースという筒を取り出し、動脈を止血
カテーテルを身体の外に取り出した後、シースとよばれる筒も身体から取り出します。
シースを取り出すと動脈から勢い良く血液が出るため、止血用の器具を用いて血液が出ないように圧迫します。
止血用の器具は空気の力で圧迫止血するため、止血当初はキツく(痛く)感じるかもしれません。
時間が経過するごとに空気を徐々に抜きますので、圧迫も緩みます。
どうしても痛みに耐えられない場合は、看護師さんにご相談ください。
12.検査用の器具を取り外す
血圧を測定するために腕に巻いていたマンシェット(帯)を取り外します。
心電図を記録するために付けていたお胸の電極も取り外します。
血液中の酸素の割合を測定するクリップも外します。
腕が動かないように固定していたテープも外します。
検査台(検査用のベッド)から降りて、車椅子に移動します。
13.アンギオ室を退室。看護師さんと入院のお部屋へ移動
入院病棟の看護師さんがお迎えに来ます。
アンギオ室の看護師さんと入院病棟の看護師さんとで、検査の経過・結果についてお話しがあります。
そのお話しが終わってから、入院病棟の看護師さんと一緒にお部屋まで移動することになります。
ここまでが、心臓カテーテル検査の流れになります。
まとめ
- 心臓カテーテル検査は、心臓に栄養を運ぶ血管(冠動脈)に異常がないかを調べる検査です。
- 検査は約30分で終了します。追加の検査も行う場合は時間が延長されます。
- 心臓カテーテル検査は局所麻酔を使用するため、意識がある状態で行われます。
- 不安なこと、心配なこと、痛みなどは我慢せず看護師さんに伝えてください。
さいごに
今回は、心臓カテーテル検査と検査の流れについてお話しさせていただきました。
次回は、心臓カテーテル検査の注意点について書きたいと思います。