
前回に引き続き[ペースメーカの基礎]についての記事を投稿します。
1回目:ペースメーカの役割と適応疾患
2回目(今回):心臓の役割と刺激伝導系
3回目:ペースメーカ患者さんが気を付けるポイント
4回目:ペースメーカ手帳に書いてあること
番外編:臨床工学技士とペースメーカのお仕事
の5本を予定しております。
これから心臓ペースメーカに関わる看護師さんや臨床工学技士さんに向けた内容です。
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それでは早速はじめましょう。
心臓のしごと

心臓の仕事は2つ。
- 体全体に血液を送り出す
- 血液と一緒に酸素と栄養分を細胞に届ける
- 心臓の大きさは、握った拳くらい
- 心臓の重さは、だいたい200〜300g(大きいじゃがいも〜小さいリンゴぐらい)
- 1回の拍出で送り出す血液の量は、約70ml(ヤクルトよりすこし少ないくらい)
- 1分間に送り出す血液の量は、約5L(心拍数70回の場合)
- 1分間で体にある全ての血液が全身を循環する
刺激伝導系とは

心臓の拍動は電気刺激で行われています。
規則正しく電気が流れることで、心臓は規則正しく拍動することができます。
この電気の流れ道を刺激伝導系(しげきでんどうけい)と呼びます。
電気が流れる順番
心臓を流れる電気には流れる順番があり、各セクションには名前が付けられています。
- 洞房結節(どうぼうけっせつ)
- 房室結節(ぼうしつけっせつ)
- ヒス束
- 右脚(うきゃく)、左脚(さきゃく)
- プルキンエ繊維
1〜5の順番で電気刺激が流れる。
各セクションの働きについて説明するとややこしくなるので、ここでは省略します。
覚えて欲しいことは
洞房結節から出る心臓を興奮させるための電気刺激が2〜5の順番で流れることで、心臓が規則正しく拍動することができる、ということです。
不整脈とは

不整脈とは脈が不整(不規則で整っていないこと)である状態。
心臓が規則正しく拍動するには、洞房結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ繊維と規則正しく電気が流れる必要があると説明しました。
不整脈はこの電気の流れのどこかに異常があるため(または、ここ以外の場所から心臓を興奮させる電気刺激が出ているため)、脈が乱れてしまうのです。
脈が早くなる不整脈と脈が遅くなる不整脈
不整脈には心臓の拍動が早くなる不整脈(頻脈性不整脈)と拍動が遅くなる不整脈(徐脈性不整脈)があります。
脈が速くなる不整脈(頻脈性不整脈)の治療
脈拍が1分間に120回以上、ときには400回近くまで速くなります。
早すぎる心臓の拍動は全身に血液を送るためのポンプ機能が失われ、心停止に繋がることもあります。
治療には
- 薬物療法
- 植込み型除細動器(ICD)
- 高周波カテーテルアブレーション治療
などがあります。
- 上室性不整脈(SVT)
- 心室頻拍(VT)
- 心房粗動(AFL)
- 心房細動(AF)
- 心室細動(VF)
など。
脈が遅くなる不整脈(徐脈性不整脈)の治療
1分間に50回を下回ることで、さまざまな症状が起こる不整脈。
治療には
- 薬剤が脈を遅くしている原因の場合は休薬する。
- ペースメーカの植込み
があります。
- 洞不全症候群(SSS)
- 房室ブロック
など。
ペースメーカは脈が遅くなる不整脈に使う

覚えて欲しいことはペースメーカは脈が遅くなる不整脈に対して使用する、ということです。
脈が遅くなってめまいや失神、目の前が真っ暗になる感じなどの症状をペースメーカで防ぐことができます。
心房細動などの頻脈をペースメーカで治療することはできません。
ペースメーカの目的は、脈が遅くなりすぎない(徐脈)ようにコントロールすることだからです。
さいごに

今回は心臓の役割と刺激伝導系について書いてみました。
特に刺激伝導系という電気の流れ道はとても大切なことなので是非覚えておいてください。
ペースメーカは本当に奥が深い分野。
だからこそ基礎から少しづつ、ゆっくり、でも着実に覚えていくことが大切です。
次回は『ペースメーカの基礎③』ペースメーカ患者さんが気を付けるポイントについての記事を投稿する予定です。

ここにも純度の高いおじさんがいたとは・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
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