【IABP】大動脈内バルーンパンピングの禁忌と観察ポイントについて

おはようございます。
この記事を書いている、臨床工学技士のジャックです。

クリティカルケア領域で使用される、特殊な生命維持管理装置の1つ。
大動脈内バルーンパンピング(以下、IABP)についてお話しようと思います。

日々の業務に追われて、装置の効果や表示されている数値の意味、ケアの根拠など意外と分からない人も多いのではないでしょうか?

今回は、IABPの禁忌と観察ポイントについて書いたので、参考にしてみてください。

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2019年3月21日

 

注意

ここで記載している内容は、あくまでひとつの参考にして頂けると幸いです。
この記事によって起きた事故等におきましては、一切の責任を負いかねます。

観察ポイントは代表的なもののみを書かせていただきました。
より詳しく知りたい方は、参考書などで補うことをおすすめします。

 

IABPの禁忌と観察:まとめ

IABPの禁忌について、まとめました。

IABPの禁忌
  • 重度の大動脈弁閉鎖不全症
  • 腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤
  • 石灰化を有する大動脈
  • 閉塞性動脈硬化症

 

IABP挿入患者の観察項目について、まとめました。

観察ポイント:患者側
  • 心電図の波形
  • バイタルサイン(NIBP,ABP,SpO2など)
  • 血液データ(ACT,APTT,PT,Htc,PLTなど)
  • 意識レベル
  • 下肢の虚血(チアノーゼ,足背動脈の触知)
  • 血腫や感染徴候
  • 尿量、血尿の有無
  • 褥瘡
  • IABPカテーテルの固定状況
観察ポイント:装置側
  • トリガー,アシスト比,バルーン拡張・収縮のタイミング,アラーム
  • バルーンの容量
  • ヘリウムガスのボンベ残量
  • 非常用電源への接続

 

ジャック
観察ポイントは「患者側」と「装置側」で分けることで、見やすくなったかと思います。
詳しい説明は、この後にあります。

 

IABPの禁忌

心臓の機能を助けるIABPですが、場合によっては合併症を引き起こしてしまう可能性があります。

IABPの禁忌とその理由について、まとめてみました。

 

IABPの禁忌
重度の大動脈弁閉鎖不全症 バルーンを拡張することで、大動脈弁に血液が流れる。
大動脈弁の閉鎖不全により、左心室側へ血液の逆流が起きてしまい、左心室の仕事量が増え心不全を誘発してしまう。
腹部大動脈瘤
胸部大動脈瘤
大動脈に留置したバルーンが拡張と収縮をすることで、大動脈瘤が破裂する危険性がある。
石灰化を有する大動脈 大動脈の石灰化により、バルーンが損傷・破裂する恐れがある。
閉塞性動脈硬化症 足の血管からバルーンカテーテルを挿入した場合、カテーテルの経の分だけ、下肢への血流が低下する。
血液の流れが悪化することで、閉塞性動脈硬化症の急性増悪をきたす恐れがある。

 

ジャック
IABPを挿入することが予想できる待機症例の場合は、事前に造影CTなどで大動脈〜下肢血管の状態を確認しておくことが大切です。
また緊急症例でも、足背動脈を触知し良好な方にIABPを挿入することで、下肢の虚血の予防に繋がります。

 

観察ポイント:患者側

IABP使用時の観察ポイントについて、代表的なものをまとめました。

観察ポイント:患者側
観察のポイント 原因 評価
下肢の虚血 IABPカテーテルやIABP挿入用のシースによる下肢への血流低下 足背動脈の触知
後脛骨動脈の触知
ドップラー血流計による拍動の評価
感染 血管内と外界を交通するカテーテルを通して、微生物が侵入することで起こる 発熱
炎症反応の上昇(CRP,WBC)
出血・血腫 ヘパリンによる抗凝固療法に伴い出血が起こりやすい傾向にある ACTの評価(ACT:150〜200秒)
ACTが延長している場合は、プロタミンの投与またはヘパリンの減量
穿刺部の圧迫止血
尿量、血尿 IABPのバルーンが腎動脈を閉塞している
コレステロール塞栓症など
尿量の測定
血尿の有無
胸部X線写真によるIABPカテーテルの位置の確認

 

ジャック
IABPを挿入することで、患者はベッド上で安静を保つことになります。
褥瘡の予防や苦痛除去のための体位変換や傾聴も必要になってくると思います。

 

観察ポイント:装置側

IABP使用時の装置側の観察ポイントについて、代表的なものをまとめました。

観察ポイント:装置側
観察のポイント 評価
アラームの有無 アラームの有無を確認
アラームの履歴を確認
アラームの対応
トリガー 心電図トリガーなのか動脈圧トリガーなのかを確認
拡張・収縮のタイミング バルーンの拡張、収縮のタイミングが適正かを確認
ズレがある場合は調整する
各波形の確認 心電図、動脈圧、バルーン内圧に異常がないかを確認
ヘリウムガスの残量 ヘリウムガスボンベの残量を確認
残量が少ない場合は、ボンベを交換する
アシスト比 アシスト比の設定を確認
電源の確認 非常用電源(赤コンセント)に電源コードがささっていることを確認

 

ジャック
代表的な観察ポイントだけを書きましたが、これを覚えるだけでも大変ですよね。
臨床現場では「看護フローチャート」や「稼働中点検簿」などを活用して、観察漏れがないような工夫があるといいと思います。

 

再び、まとめ

IABPの禁忌
  • 重度の大動脈弁閉鎖不全症
  • 腹部大動脈瘤・胸部大動脈瘤
  • 石灰化を有する大動脈
  • 閉塞性動脈硬化症

 

観察ポイント(患者側)
  • 下肢の虚血
  • 感染
  • 出血・血腫
  • 尿量・血尿

など

 

観察ポイント(装置側)
  • アラームの有無
  • トリガー
  • 拡張・収縮のタイミング
  • 各波形の確認
  • ヘリウムガスの残量
  • アシスト比
  • 電源の確認

など

  • 「看護フローチャート」や「稼働中点検簿」などを用いて、観察漏れを無くす。

 

さいごに

今回は、IABPの禁忌と巻圧ポイントについて書かせていただきました。
観察するポイントはたくさんあるので、医療機関で専用の「看護フローチャート」や「稼働中点検簿」を作成することをお勧めします。

 

ジャック
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

 



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ABOUTこの記事をかいた人

ジャック

とある病院ではたらく、とある臨床工学技士。 「臨床工学技士の認知度向上」と 「むずかしい医療機器を、分かり易く&簡単に」を このブログを通して1人でも多くの人に伝えていきたいと思います。