
皆さんは病院で働く上で大切にしていることはありますか。
今回は僕が考える「病院で働く上で大切なこと」を記事にしてみました。
もちろん僕が考える「大切なこと」が、皆さんにとっての「大切なこと」と一緒だなんて考えておりません。
ただ、とある技士が働く上で「大切にしていること」を知っていただくことで、そんな考えもあるんだな。程度に知ってもらえたら嬉しいです。
また、皆さん自身が「大切にしていること」をコメントやTwitterなどで教えていただけると嬉しいです。
そんなわけで今回は、
「病院で働く上で大切なこと」
をテーマに、僕が大切にしていることを伝えていきます。
僕が大切にしている、一つの考え

僕が病院で働く上で大切にしていることは、常に疑問を持つということです。
「え? そんなこと?」
と思われた方もいることでしょう。
でも、今、目の前にある事柄を疑うことは非常に難しいことです。
先輩から教えられたことだから正しい、と思っていませんか。
病院のルールだから守らなければならない、と思っていませんか。
マニュアルに載っていることだから疑問に思わず行動していませんか。
それは本当に正しいことですか?
当たり前、常識、慣習。そんなフィルターを通して過ごす日常を、疑問という別の視点を持って生きることは案外難しいです。
人間は信じたいものだけを信じる生き物だから


ケース1:天動説と地動説
「ニコラウス・コペルニクス」(1473年~1543年)は、ポーランド出身の天文学者です。
当時は天動説(地球が宇宙の中心にあり、すべての惑星が地球の周りをまわっている。という考え方)が当たり前と考えられていました。
コペルニクスは天体観測をして地動説(太陽を中心として、地球を含むほかの惑星が、太陽の周りをまわっているとする考え方)を再発見し、書籍にまとめました。
コペルニクスの死後、地動説は異端な思想として警戒を招きコペルニクスの書籍は禁書となりました。
今では誰もが太陽を中心に惑星が公転していることを学校で習いますが、その常識や知識は時代と共に変化してきました。
ケース2:国と信仰
日本では宗教や信仰について深く考えることなく生活ができてしまいますが、それは世界と比べるととても珍しいケースです。
キリスト教:22億5450万人
イスラム教:14億3140万人
ヒンドゥー教:9億1370万人
総人口67億4960万人のうち無宗教・無神論者は9億5190万人。世界の宗教を知ろう!−港区
イスラム教
- 現地の人々の食習慣に注意すること。イスラム教徒は豚肉を食べないので、イスラム教徒に豚肉の入った食べものは勧めない。【カルカッタ、ムンバイ/インド】【トルコ】【シンガポール】【中国】
- ラマダン(断食)の月は外で食事をする事はできるだけ避けた方が良い。
- アルコール類は禁止されている
ヒンズー教
- 現地の人々の食習慣に注意。ヒンズー教徒は牛肉を食べない。【カルカッタ、ムンバイ/インド】【トルコ】【シンガポール】【中国】
OTOA 一般社団法人 日本海外ツアーオペレーター協会
世界中の8割以上の人が何らかの宗教の信者です。
僕たちが当たり前、常識と思っていることは国や地域、信仰が違えば通じません。
ケース3:医療
ちょうど私が学生時代、臨床講義を受けている頃にテレビでは田宮二郎主演の白い巨塔の再放送をしていた。
当時のこととて、ドラマ中では術前に肺転移が確認できたかどうか、断層撮影で鑑別できるかどうかの意見が戦わされたり、術前術後の化学療法に効果が期待できるかできないかという議論がなされたりしていたが、今ではCTやPETで転移の診断はかなりの精度で行えるようになったし、化学療法もルーチンに行われる時代となっている。
記憶をたどると、私が国家試験を受けたときに出題されたCT画像たるや、モザイク模様の幻のような画像であったから、現代からは想像もできない話で、今の時代ではもはや白い巨塔の設定は成り立たなくなっているのである。
現代ではむしろ、せっかく検査した結果を見落としたために診断が遅れたという事例がニュースになっている。昨日の常識は今日の非常識
札幌医科大学医師会斗南病院 坪田 大
より一部抜粋
医療でも今当たり前だと思っていることが数十年先では通じない、他の検査や治療で同程度かそれ以上の効果を得られることが書かれています。
3つのケースから思うこと
天動説が正しく地動説を異端な思想としたように。
それぞれの人がそれぞれの神様や仏様を信じるように。
人間は信じたいものを信じます。
その裏には、思考停止や信じたもの以外を排斥するといった弊害を生むことがあります。
しかし、信じていたものや常識は国や地域、時代によって変化してしまいます。
その病院では当たり前とされていることも、他の病院や数年後には全く違うことが常識になっているかもしれません。
疑問を持つは成長の一歩となる


個人の成長
学生の頃は毎日、授業に参加して勉強していました。しかし、社会に出ると自分自身で勉強していく必要があります。
なぜなら職場には教師もいませんし、テストもありません。
分からないことも目標も自分で探す必要があります。
そこで大切になってくることが「疑問を持つ」ことだと僕は考えます。
-この薬はなんで、このタイミングで、ここから入れるのだろうか。
-なぜこの作業はこの時間で、この人数でやっているのだろうか。
-なぜ同じようなインシデントが多発するのだろうか。
毎日が同じことの繰り返し。になっていませんか。
同じ日なんてないはずなのに。
そう感じたことがある人にこそ「常に疑問を持つ」ということが活きてくるはずです。
疑問を持ち、考えることは成長の一歩となります。
組織の成長
-多発するインシデント
-減らない残業時間
-人間関係が悪いことによる雰囲気の悪さ
組織には多くの問題が山積みです。
またその問題に気付かない人、気付いていながら問題解決のために行動を起こさない人、問題解決の方法が分からない人、解決するための行動は起こさないけど口だけ出す人など…..組織には色んな人がいます。
これら山積みの問題を解決するための一歩こそ「疑問を持つ」ことです。
組織の問題を解決することができれば、医療安全性の向上や残業時間の減少、職場の雰囲気が良くなったり、組織としての価値が上がったりするかもしれません。
何も考えない。
それは機械と一緒です。
良い。悪い。その裏には何があるのかを考えられるのが大人。だと僕は考えています。
考えることで、選択肢が増える


リンクの記事でも紹介しましたが、「優秀なスタッフ」は「自分で問題点に気付き、考え、行動すること」ができます。
そんなスタッフは自分自身の問題や組織の問題に気付くことができます。
「優秀なスタッフ」は問題を解決するための行動力があるため、臨床工学技士以外の生きる道を探す場合もあります。
僕は彼らのような「優秀なスタッフ」が働きやすい、問題提起しやすい、そして解決できる職場を作ることこそ組織と役職者に課せられた使命だと考えます。
-仕事がつらくても生きるために辞められない。
そう考えてしまう人もいます。
でも、それは本当でしょうか。
こうやって疑問を持つことで生きる選択肢が他にあるのではないか、と視点を変え視野が広げられるはずです。
最後に

今回は「病院で働く上で最も大切なこと」をテーマに、僕が働く上で大切にしていること考えについて書かせて頂きました。
誰かの参考になるかは分かりませんが、この記事を読んだ方が自分の「大切にしている」気持ちや考えについて再考するきっかけになれば記事にした甲斐があったかもしれません。
