おはようございます。
この記事を書いている、ジャックです。
今回は『輸液ポンプ そのアラームの意味、ちゃんと知ってますか?』をテーマに、輸液ポンプの各種アラームとその対処方法について、まとめてみました。
「輸液ポンプの使い方なんて知ってるよ」という方も、再確認のつもりで読んでいただけると幸いです。
Contents
輸液ポンプのアラームの種類
アラームは各メーカー、機種ごとに異なります。
今回は輸液ポンプの代表的なアラームについてお話します。
実際に使用されている輸液ポンプの詳細なアラームについて知りたい方は、それぞれの取扱説明書を参考にしてください。
アラームと対処方法の説明は
- 流量異常アラーム
- 気泡アラーム
- 閉塞アラーム
- 空液(液切れ)アラーム
- ドアアラーム
- バッテリ(電圧低下)アラーム
の流れで説明いたします。
1.流量異常アラーム
流量異常アラームとは、輸液ポンプに設定した流量が患者さんに輸液されないときに鳴るアラームです。
設定した流量が患者さんに輸液されない状況には、次のようなことが考えられます。
②滴下センサーの取り付けが不適切
③滴下センサーが揺れて、正しく液滴を感知できない
④チューブが同じ位置で長時間使用されている
など
②滴下センサーを正しく取り付ける
※液滴が感知できるように、以下のことを確認する
1.滴下センサー(と滴下筒)が傾いていない
2.滴下センサーが滴下筒の高い部分に取り付けれていない
(受光センサー部に滴下針がかかっていない)
3.滴下筒内の薬液面が高すぎない
(発光ダイオードから出る光が受光部に届き、滴下を示すランプが光ることを確認)
③チューブを長時間おなじ位置をしごかれないように、位置をずらす
または、輸液セットを交換する
考えられる原因①輸液ポンプにセットした輸液セットと滴数設定が異なる
と書きましたが、輸液ポンプにセットした輸液セットと滴数設定が異なっていても、必ずしも流量異常アラームが発生するわけではありません。
理由は、輸液ポンプは取り付けられている輸液セットを識別するためのセンサーを搭載していないからです。
運悪く、使用している輸液セットと滴数設定が異なっている状態で流量異常アラームが発生しなかった場合、薬液が3倍または3分の1の速さで輸液される可能性があります。
使用する輸液セットと輸液ポンプの滴数設定にはご注意ください。
2.気泡アラーム
気泡アラームは、輸液セットのチューブ内にある気泡を輸液ポンプに装備されている気泡検出部で感知したときに鳴るアラームです。
②輸液ポンプ指定以外の輸液セットを使用している
③気泡検出部に汚れが付着している
(手順)
1.輸液ポンプ下流のクレンメを閉じる
2.輸液ポンプのドアを開ける
3.セットした輸液セットを輸液ポンプから外す
4.チューブを指で弾いて(軽く叩いて)、気泡を滴下筒内にあげる
②輸液ポンプ指定の輸液セットに交換する
※流量制御型の輸液ポンプの場合、専用の輸液セットを使用することがあります
③気泡検出部の汚れを拭き取る
※プラスチックはアルコールに弱いため、水またはぬるま湯にひたしたタオルなどで拭き取る
3.閉塞アラーム
閉塞アラームは、輸液セットの回路内圧が高くなることで鳴るアラームです。
輸液ポンプの閉塞圧の設定を越えることでアラームが鳴り、薬液が送れないことを知らせてくれます。
②輸液セットが潰れたり、折れたりしている
③三方活栓が送液側に向けられていない
潰れや折れの癖がついてしまっている場合は、新しい輸液セットに交換する
②三方活栓がどちらの方向に開放になっているかを確認し、送液側が開放になるように調整する
輸液セット内に高い圧が加わった状態(閉塞アラームが鳴ってすぐの状態)で、三方活栓を送液側に切り替えると、薬液が急速に患者さんに送られてしまいます。
輸液ポンプ下流側のクレンメを閉じてから、輸液セットをポンプから取り外し、圧力を薬液バッグ(袋)側に逃しましょう
4.空液(液切れ)アラーム
空液(液切れ)アラームは、滴下センサーが薬液の滴下を感知できないときに鳴るアラームです。
空液(液切れ)アラームが鳴る状況は、2種類あります。
②輸液バッグ(袋)と輸液ポンプ間にクレンメがあり、そのクレンメが閉じられている状況
→輸液は残っているが、クレンメが閉じているため液滴が行われない
輸液を終了する場合は、輸液ポンプの電源を落とし、輸液セット一式を回収する
②本来、輸液セットのクレンメは輸液ポンプ下流側に位置するべきです。
正しい位置にクレンメを移し、輸液を再開します
5.ドアアラーム
ドアアラームは、輸液ポンプの電源が入っている状態でドアを開くと鳴るアラームです。
ドアが正しく閉まっていない状態、ドアが開いている状態を知らせてくれます。
②ドアに何か挟まっていないか確認する
②何か挟まっている場合は、それらを除去し、確実にドアを閉める
輸液ポンプのドアを開くときは、クレンメを必ず閉じましょう。
輸液バッグ(袋)と輸液針との高さの違い(落差)で、大量の薬液が患者さんに送られてしまう危険性があります。
輸液ポンプの機種によっては、ドアを開いた段階で輸液セットをクランプ(閉じて)して、落差による大量輸液を防ぐものもありますが、クレンメを閉じることを忘れないように心がけましょう。
6.バッテリ(電圧低下)アラーム
バッテリ(電圧低下)アラームは、輸液ポンプに搭載されている内蔵バッテリで使用しているときに鳴るアラームです。
内蔵バッテリの電圧が低下したときに鳴ります。電圧が低下するとバッテリでの稼働時間が短くなるので、電源コードをコンセントにさす必要があることを知らせてくれます。
電源コードを差し込んでるのに、輸液ポンプがコードを認識していない可能性があります。
原因は、輸液ポンプの背面の電源コード接続口へのコードの差し込みが緩いことに起因してます。
電源コードを差し込んでも、コードがすぽすぽ外れてしまう場合は、ME(臨床工学技士)に相談・報告をお願いします。
さいごに
今回は、『輸液ポンプ そのアラームの意味、ちゃんと知ってますか?』をテーマに、輸液ポンプの各種アラームとその対処方法について、まとめてみました。
基本的な内容については、“考えられる原因”と“対処方法”にまとめました。
ME(臨床工学技士)からの視点で、ここは知っておいて欲しいというものは、【MEからのお願い】として書かせていただきました。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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