【臨床工学技士】なぜ優秀なスタッフほど退職するのか、を考えてみた

おはようございます。
この記事を書いている、臨床工学技士のジャックです。

2月になると、年度末で退職するスタッフの噂が自然と耳に入ってくるようになります。
僕が所属している臨床工学課でも退職者が2名いることを知りました。

2人ともやる気のある、これからの活躍を大いに期待しているスタッフでした。
なぜ優秀なスタッフほど退職してしまうのか。
今回は退職するスタッフにインタビューを行い、自分なりの考えをまとめてみました。

 

はじめに

優秀なスタッフほど退職してしまう、そう感じている人は多いのではないでしょうか?
僕は今の病院で勤務して12年経ちます。
長く一つの組織で働いていることで、多くのスタッフが辞めていく姿を見ることなりました。

退職する理由は人それぞれですし、スタッフの能力も一様ではありません。
優秀なスタッフの退職を知ると、残念な気持ちと自分は彼らに何か出来たのではないか、そんな考えが頭をよぎります。

今年も2名の退職希望者がいることを知り、そんな彼らにインタビューを行いました。

 

退職理由をインタビューしてみた

ヒロさん(仮)の場合

ジャック
ズバリ、退職の理由はなんですか?
ヒロさん(仮)
今の仕事とは別に、やりたことができたからです

ヒロさん(仮)は、勤続年数4年目の臨床工学技士。
彼のやりたいことは、「世界一周」でした。
来月には今の職場を退職し、今年中には世界一周の旅に出ることを計画しているそうです。

世界一周の旅を終えた後は、「自分でコミュニティを作りたい」と語ってくれました。
コミュニティとは「共同体」です。しかし、その形はさまざま。
“村”だったり、“お店”だったり、“会社”だったり。
形はまだ決まっていないけれど、そのようなコミュニティを作りたいと言いました。

コミュニティでは、そこで活動する「個々人の能力にフィーチャーしたい」とも言いました。
これは僕の勝手な解釈ですが、個々人の能力や特徴を把握し、より良いものや環境を作っていきたい。シナジーを生み出したい。
彼の言葉から、そのように感じることができました。

 

ヒロさん(仮)
辞めたい、そう最初に感じた理由は別のところにありました。

仕事を辞めたい、そう思ったきっかけは「世界一周」とは別のところにあったことを教えてくれました。
そのきっかけとは「現状に納得ができない」というものでした。

現状とは、職場の業務内容や環境、医療業界の考え方や雰囲気のようなものです。

現状に納得できないけれど、自分が何をしたいのか分からない。
自分自身を振り返って、自問自答した結果、彼は「世界一周」と「コミュニティを作る」という答えに辿りついたのでした。

 

オーヤさん(仮)の場合

ジャック
ズバリ、退職の理由はなんですか?
オーヤさん(仮)
移植コーディネーターという仕事をしたいと思ったからです

オーヤさん(仮)は、勤続年数3年目の臨床工学技士。
血液透析業務を通して、移植コーディネーターという存在を知り、興味が湧いたそうです。

※移植コーディネーターとは
移植コーディネーターの仕事は、臓器提供を考えているご家族に必要な説明を行い、提供から移植がスムーズに運ぶように調整する“いのちの橋渡し”をすることです。
その他、医療機関や一般の方の移植医療への理解を深めるための普及啓発活動も臓器移植コーディネーターにとって大切な仕事です。

(公社)日本臓器移植ネットワークのサイトより抜粋

 

血液透析は腎臓の機能を代替する治療方法の1つです。
この治療では、腎臓の機能自体を治すことはできません。
尿として身体の外に排出することができなくなった“老廃物”や“水分”を、腎臓に代わって身体の外に排出することが血液透析の特徴です。

患者さんは、生きている限り血液透析を続ける必要があります。
この現実は、血液透析業務に従事するスタッフにとっても重くのしかかる現実です。

病気が良くなって、病院を退院して、定期通院で様子を観察する。
そういった医療とは異なるからです。
自分たちの行っている医療に少なからず疑問を抱くスタッフはいます。

注意
血液透析治療を否定しているわけではありません。
また、そこで働く医療従事者も否定しません。
血液透析治療は予後を改善するために、合併症を起こさないために提供できる医療は沢山あります。そこに、やり甲斐を見出すスタッフも多くいるからです。

そのような疑問に直面した、オーヤさん(仮)は彼なりに命と向き合うため「移植コーディネーター」という道を選んだそうです。

 

オーヤさん(仮)
辞めたい、そう思った理由は別のところにありました。

オーヤさん(仮)もヒロさん(仮)と同様に、今の職場をやめたいと思ったきっかけは別のところにありました。
それは、「やりたい仕事ができない」というものでした。

当院の臨床工学課の特徴として、入職から3年程度は血液透析センターで血液透析業務や特殊血液透析業務を主に行うことになります。

オーヤさん(仮)は仕事に積極的で、もっと多くの業務に携わりたかったのです。
せっかく総合病院に入職したのに、高気圧酸素治療業務や心臓カテーテル業務などの業務をやらせてもらえない。
その歯がゆさが、焦りに変わっていったことを教えてくれました。

当院の仕組みや体制は理解できているし、不満に思っているわけではない。
だけど、自分との気持ちに折り合いがつかなくなり、自分に出来ること、やりたいことって何だろう、そう考えたときに出た答えが「移植コーディネーター」だったそうです。

 

優秀なスタッフは自分の考えがあり、生き方を模索している

僕が考える「優秀なスタッフ」とは、「自分で問題点に気付き、考え、行動すること」ができるスタッフです。
一見当たり前のように感じることかもしれませんが、これが出来ない社会人は多いです。

今回インタビューを引き受けてくれたヒロさん(仮)の場合は、「世界一周」と「コミュニティの形成」を、もう一方のオーヤさん(仮)の場合は「移植コーディネーター」という、やりたいことを叶えるために退職することを決意しました。

彼らは、彼らなりに問題点に気付き、実際に行動を起こしました。
「退職」という行動になってしまいましたが、「問題点に気付き、行動を起こせる」そんな彼らだからこそ、僕は彼らを「優秀なスタッフ」と感じていたのかもしれません。

 

離職率を下げることに尽力しない組織に未来はない

毎年のように離職率が高い組織があります。
僕が働いている病院も離職率は決して低くありません。

職員対象の勤務満足度調査などを毎年恒例で実施していますが、これによって職員の満足度が向上するような施策が講じられたことはありません。
部署ごとに見ても、離職率を低減させるために何らかしらの対策がとられているわけでもありません。

退職者がいるから、それ以上に職員を入職させる。
しかし、肝心の離職の原因を追求・解明・改善することをしないから、翌年には退職者が出て、また多くの職員を入職させなければならない。
そんな負のスパイラルに陥ってしまう。

そんな組織に未来はないと断言できます。

 

まとめ

優秀なスタッフが退職してしまうことをまとめると…

  1. 退職を考えるきっかけと退職の理由は異なる
  2. 退職のきっかけは、現状に対して納得できないことや不満であることが多い
  3. 退職の理由は、自分のやりたいことを叶えるため
  4. 優秀なスタッフは問題提起し、自分は何がしたいのかを考え、行動に移す力がある
  5. その結果、退職という道を選ぶ

 

以上のようなことが、今回のインタビューから導きだすことができました。

 

さいごに

今回は『なぜ優秀なスタッフほど退職するのか』をテーマに記事を書かせていただきました。
当臨床工学課を退職する2名の職員に対してインタビューを行い、自分なりの考えを書き加えさせていただきました。

優秀なスタッフが退職する理由が、全て今回のケースに当てはまるわけではないと思います。
しかし、僕と同じように「なぜ優秀なスタッフほど退職してしまうのか」という疑問を抱く方には、1つのケースとして参考になると思います。

今回、僕のインタビューを快く引き受けてくれた2名のスタッフには、この場をもって感謝を申し上げたいと思います。
彼らの未来が、輝かしいものであることをお祈りします。



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ABOUTこの記事をかいた人

ジャック

とある病院ではたらく、とある臨床工学技士。 「臨床工学技士の認知度向上」と 「むずかしい医療機器を、分かり易く&簡単に」を このブログを通して1人でも多くの人に伝えていきたいと思います。